FLOORED
Director: James Allen Smith (2009)
flooredthemovie.com
長い間シカゴにはCMEとCBOTという2つの先物取引所があり、お互いに世界一を争っていた。取引所のフロアには自己資産を投じて相場を張る"ローカル"と呼ばれるトレーダー達が居て、その存在が市場の流動性を支えていた。1990年代そのトレーダーの数は1万人を超えていたが、電子取引の普及により構造そのものが変化しつつあり、この映画が撮影された2008年にはその数は1割に減ってしまったという。その後、CMEとCBOTの取引所そのものも合併しており、トレーダーやフロア関係者の数はさらに激減している。
取引所フロアにはとてもキャラクターの濃い連中ばかりが集まっており、このドキュメンタリーはそういった人々をフィルムに収めている。彼らは普通の人なら異様に感じるような取引所内では成功し活き活きとしている反面、一般社会の風景の中ではどこかズレおり、その微妙な感じをよく汲んでいた。
もっともっと深く掘り下げて取材する事も出来ただろうし、現場や裏話の多くを知る身としてはやや物足りない気もするのだが、彼らの生態を記録した数少ないフィルムであるのは確かで、とても貴重な作品であろう。
シカゴGene Siskel Film Centerでの一週間の上映は各回ともSOLD OUTになっていたようだ。再上映も企画されているようだし、4月にはDVDが発売されるとのこと。77分と短いし、金融業界関係者ならば一度は見ておいても損はしないと思う。
映画とは関係ないが、CMEフロアの連中にインタビューした10分弱のビデオがYouTubeに載っていた。取引所合併に絡んでの移転直前の頃だと思うが、僕もここで10年以上過ごしていたので、顔見知りの面々が登場していて、懐かしい。
Merc Memories April 25, 2008