9.24.2014

大島渚!


先日、シカゴ国際映画祭(10/9-23) での邦画上映が1作品しかないと嘆いていたが、実は同時期に Gene Siskel Film Center (シカゴ美術館附属美術大学のフィルムセンター) では大島渚監督特集  “Nagisa Oshima: His Will on Film” (10/3-29) が開催される。

追悼特集に相応しく、タイトルは上映作品のひとつ 「東京战争戦後秘話」のサブタイトルで、英題にもなった ”映画で遺書を残して死んだ男の物語”  (The Man Who Left His Will on Film) にちなんだもの。 8作品すべてが 35mm で上映され、そのうち 5本がニュープリントのようだ。

同フィルムセンターでは、過去に黒澤明 監督や小津安二郎監督特集などを組んでおり、僕もここで初めて観た往年の名作も多い。 また、5月に宮崎駿監督の「風立ちぬ」(2013) 、この9月にはアニメ特集 ”Anime Delights!” として 「コクリコ坂から」(2011)、「サカサマのパテマ」(2013)、「宇宙ショーへようこそ」(2010) を上映していた。

今回の大島監督特集は、(バラエティ番組のゲストのおっさんではなく、)「戦メリ」以前に日本映画史を支えた映画人としての大島渚の存在を再確認する密度の濃い作品が並んでいる。個人的には 8作品のすべてに都合をつけるのは難しいので、贅沢な悩みを抱える10月となるのだった。

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愛のコリーダ  
IN THE REALM OF THE SENSES (1976, 95 min.)
Fri, Oct 3rd at 6:00pm
Sat, Oct 4th at 5:30pm

新宿泥棒日記
DIARY OF A SHINJUKU THIEF  (1968, 94 min.)
Sat, Oct 4th at 3:30pm

戦場のメリークリスマス
MERRY CHRISTMAS, MR. LAWRENCE (1983, 122 min.)
Fri, Oct 10th at 6:00pm
Sat, Oct 11th at 5:00pm

少年
BOY (1969, 105 min.)
Sat, Oct 11th at 3:00pm
Wed, Oct 15th at 8:00pm

儀式
THE CEREMONY (1971, 122 min.)
Sat, Oct 18th at 3:00pm
Wed, Oct 22nd at 7:45pm

東京战争戦後秘話
THE MAN WHO LEFT HIS WILL ON FILM  (1970, 94 min.)
Sat, Oct 18th at 5:30pm
Thu, Oct 23rd at 7:45pm

愛の亡霊
MPIRE OF PASSION (1978, 106 min.) カンヌ映画祭監督賞
Fri, Oct 24th at 6:00pm
Sat, Oct 25th at 3:00pm

絞死刑
DEATH BY HANGING (1968, 117 min.)
Sat, Oct 25th at 5:00pm
Wed, Oct 29th at 7:45pm



http://www.siskelfilmcenter.org/nagisa_oshima_series

9.19.2014

シカゴ国際映画祭 2014

シカゴ国際映画祭 (10/9-23)のフルスケジュールが発表になった。
今年は50周年記念にあたるのだが、日本からの出品は中島哲也監督の「渇き。」(The World of Kanako) だけ。

渇き。/ The World of Kanako
10/11/2014 土11:00 PM
10/20/2014 月 8:45 PM

中島監督作品に興味はあるけれど、昨年に続き邦画は一本というのは少し寂しい(以前は3作品はあった)。しかも After Dark枠で、変な時間での上映だし。
日本映画、もっと頑張れ。

http://www.chicagofilmfestival.com/festival/2014-schedule/film/?id=147

5.26.2014

創造的人生の持ち時間は10年



金曜の会社帰りに「風立ちぬ」を観てきました。講演会に行って宮崎監督の話を聞いてきたような、そんな気分にさせる作品でした。子供向けではなく、万人受けも狙ってなさそうな本作が監督の長編引退作になるのなら、それに相応しい作品だったと思います。 

喫煙シーンが多いとの批判があったようですが、宮崎監督自身が東日本大震災直後に仙沼市の漁師さんにタバコを支援物資として送ったほどの「愛煙家」であることを踏まえれば、監督自身を反映している作品であることを明示しているかのようです。当時はいたる所で皆が煙草を吸っていた時代であり、実のところ喫煙の場面は心情を表す上で効果的に使われてはいるのですが、今のモノサシだと違和感が生じて批判も出るのでしょう。松田聖子の「赤いスイートピー」に "タバコの匂いのシャツに そっと寄りそうから" という歌詞(松本隆)がありますが、あの心情も次第に理解されなくなるのでしょうね。一方で、「千と千尋の神隠し」はソープランドの話なのに大絶賛されたのは、宮崎監督が言う通り「日本はすべて風俗産業みたいな社会になってる」ので、違和感がなかったからでしょうか。

劇中で提示される「ピラミッドのある世界とない世界、どちらが好きかね」に対する万人受けする答えが無いように、見解の相違、賛否両論を招くことは承知で作られていると思われます。
その上で自己矛盾や自己欺瞞を抱えても、「創造的人生の持ち時間」に力を尽くせ、と説きます。前時代的な思考かもしれませんが、何らかのモノ作りに携わったことのある人になら響く言葉ではないでしょうか。息子の宮崎吾朗に宛てたのなら、あまりにベタですが。

本作では、さらに堀辰雄のサナトリウム文学から「菜穂子」が登場します。彼女は人生そのものに限りがあることを悟った上で、心に正直に生きていくと決め、結婚式での美しさに昇華されます。たとえそれが死期を早める日々となっても、「けれどしあわせ」という「ひこうき雲」の歌詞にも重なって、創造的人生だけでなく、人生そのものも、「僕たちは一日一日を大切に生きているんだ」と主人公が言い切るに至ります。
二人の倫理を越えた覚悟に(観客を含め)外野がとやかく言えることは無いのですが、周囲にかける迷惑や心配についてはオブラートに包んでいます。当時は、広く伝染し得る「不治の病」、「死の病」だったことをもう少し強調しておいた方が良かったかもしれません。

時間は限られていると覚悟して力を尽くす「生き方」は、死を意識して生きる「死に方」でもあります。だからこそ死をテーマにした「ひこうき雲」がよく合います。「創造的人生」のピークを過ぎた宮崎監督も、これからどう生きるか、死ぬかを思案しているかのようです。長編引退作として相応しいと思った理由がここにあります。「やめるやめる詐欺」的な傾向もある監督ですけどね。

101 (tentative)


101 (tentative)

  1. Here, There And Everywhere / The Beatles
  2. Land Of 1000 Dances / Wilson Pickett
  3. A Whiter Shade of Pale / Procol Harum
  4. Break on Through / The Doors
  5. Crossroads / Cream
  6. You Can't Always Get What You Want / The Rolling Stones
  7. Hold On, I'm Comin' / Sam & Dave
  8. Tracks Of My Tears / Aretha Franklin
  9. What's Going On / Marvin Gaye
  10. Have You Ever Seen The Rain? / Creedence Clearwater Revival
  11. Rock & Roll / Led Zeppelin
  12. Highway Star / Deep Purple
  13. Ziggy Stardust / David Bowie
  14. Sweet Jane / The Velvet Underground
  15. Working Man / Rush
  16. Freebird / Lynyrd Skynyrd
  17. Bohemian Rhapsody / Queen
  18. Shout It Out Loud / Kiss
  19. Blue Wind / Jeff Beck
  20. Sir Duke / Stevie Wonder
  21. Alison / Elvis Costello
  22. Heartache Tonight / The Eagles
  23. Back In Black / AC/DC
  24. Everybody Needs Somebody To Love / The Blues Brothers
  25. (Just Like) Starting Over / John Lennon
  26. Say Goodbye To Hollywood (Live from Songs In The Attic) / Billy Joel
  27. Every Little Thing She Does Is Magic / The Police
  28. Message Of Love / The Pretenders
  29. Spotlight Kid / Rainbow
  30. Run To The Hills / Iron Maiden
  31. 1999 / Prince
  32. Should I Stay or Should I Go / The Clash
  33. Sirius - Eye In The Sky / The Alan Parsons Project
  34. Drive / The Cars
  35. My Ever Changing Moods / The Style Council
  36. You Can't Get What You Want (Till You Know What You Want) / Joe Jackson
  37. Road to Nowhere / Talking Heads
  38. What You Need / INXS
  39. If You Leave / Orchestral Manoeuvres In The Dark
  40. Bring On The Night, When The World Is Running Down You Make The Best Of What's Still Around (Live) / Sting
  41. Breakout / Swing Out Sister
  42. Lessons In Love / Level 42
  43. The Right Thing / Simply Red
  44. Don't Dream It's Over / Crowded House
  45. Lean on Me / Club Nouveau
  46. It's All In The Game / Carmel
  47. Where the Streets Have No Name / U2
  48. Sweet Child O' Mine / Guns N' Roses
  49. Love Is Stronger Than Pride / Sade
  50. Time And Tide / Basia
  51. Time After Time / Everything But The Girl
  52. Far Gone And Out / The Jesus and Mary Chain
  53. Regret / New Order
  54. Are You Gonna Go My Way / Lenny Kravitz
  55. Snowbound / Donald Fagen
  56. Wonderwall / Oasis
  57. Into The Void / Nine Inch Nails
  58. Mermaid in a Manhole / Airiel
  59. Walk / Foo Fighters

  60. トランジスタ・ラジオ / RC Succession
  61. エイトビート / ザ・クロマニヨンズ
  62. サヨナラCOLOR (from 映画 サヨナラCOLOR ) / ハナレグミ, 忌野清志郎
  63. 夕方 Hold On Me / サザンオールスターズ
  64. THOUSAND KNIVES (Live re-mix, from ONE MORE YMO) / Yellow Magic Orchestra
  65. Spending all my time / Perfume
  66. ココニイルコト / スガシカオ
  67. 14番目の月 / スピッツ
  68. 中央フリーウェイ / 荒井由実
  69. シンシア    / 原田知世
  70. There will be love there / the brilliant green
  71. 幸せであるように / Flying Kids
  72. そして僕は途方に暮れる(25th ver.) / 大澤誉志幸
  73. SOMEDAY / 佐野元春
  74. A面で恋をして / NIAGARA TRIANGLE
  75. カナリア諸島にて     / 犬塚彩子
  76. 土曜の夜はパラダイス / EPO
  77. MOTOR DRIVE / REBECCA
  78. 浪漫飛行 / 米米CLUB
  79. 春夏秋冬 (from IZUMIYA-Self Covers) / 泉谷しげる with Loser

  80. Blue Monk - Thelonious in Action: Recorded at the Five Spot Cafe / Thelonious Monk
  81. Just Knock On My Door - A Jazz Message / Art Blakey
  82. On The Sunny Side Of The Street - Sonny Side Up / Dizzy Gillespie, Sonny Rollins & Sonny Stitt
  83. Cornbread / Lee Morgan
  84. Blue Train / John Coltrane
  85. No Passengers - High/Red/Center / Jason Roebke Octet
  86. Things Ain't What They Used To Be - The Cure / Keith Jarrett
  87. Birdland / The Manhattan Transfer
  88. Fly Me to the Moon / Astrud Gilberto
  89. Desafinado - Getz/Gilberto
  90. They Can't Take That Away From Me - After Hours / John Pizzarelli
  91. So Many Stars - And It Begins / Mamiko Taira
  92. A Beautiful Friendship - Song Travels / Yukari Matsuoka
  93. James - Offramp / Pat Metheny

  94. La Bikina / Mariachi Vargas de Tecalitlan

  95. Promenade sentimentale - Diva / Vladimir Cosma
  96. On Her Majesty's Secret Service / John Barry Orchestra
  97. Mission: Impossible Theme M:I-3 / Lalo Schifrin
  98. The Imperial March / John Williams

  99. Holst: The Planets, Op. 32: IV. Jupiter, the Bringer of Jollity / Boston Symphony Orchestra & William Steinberg
  100. Dvorak: Piano Quintet in A, Op. 81: I. Allegro / Andreas Haefliger & Takacs Quartet

  101. Bibimbop Bebop - Live At The Blue Rider Theatre / Tatsu Aoki



1.14.2014

Since 1996/01/15

自分の web サイトに ” from Chicago IL USA Since 1996/01/15 ”  とあるので、開設からまる18年が経ったようだ。シカゴでの生活は93年からなので、これよりもう少し長い。


海外発の日本語サイトというだけでも本に載った、いわゆる 「インターネットの黎明期」 。以来、何かしらの形で細々とインターネットに関わってきた。時には迷走したり、本業にしてみたり、距離を置いたり、ボランティアをしたり・・・いろいろあったような、何も進歩しなかったような・・・記憶はだんだんと曖昧になっていくけれど。


昨年暮れにかけて、昔を振り返る機会が何度かあった。その延長で、ここでまた原点に戻って「自分の web サイト」 をやってみようという気持ちになっている。今までもこの時期になると同じように思いながら、時間も余裕もなくて出来なかった。だが、なぜか今回は「やらなければ」という強迫観念じみた感情もある。
きっと何もかも思い出せなくなってしまう前に、書き留めておかなきゃいけないことも、あるのだろう。