1.31.2010

ジャスパー・モリソンのCoffeemaker



ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)はイギリスの工業デザイナーで、僕は詳しくないのだが、どうやら六本木ヒルズのベンチなんかもデザインしているらしい。

2005か2006年頃に買ったと思う。その頃まで使っていたBRAUNのを壊してしまった後で、なかなか気に入ったのが見つからなかった矢先に、MOMAのデザイン・ストアのカタログに載っているのを見て、外見に惚れて買ってしまった。#4フィルターも本体に収納出来るのも気に入っている。

ドイツの家電メーカーRowentaとのコラボでデザインされたものだが、氏のwebサイトで「不良品があるようです。ご注意下さい。」とわざわざ注意書きがしてあるのに後になってから気付いた。あくまでも欠陥デザインではなく、品質不良だと言いたいのだろう。確かに凝ったデザインが災いして洗いにくかったり、時々上手くコーヒーがカラフ落ちずに溢れてしまったりと、難点はある。今でも売られてるがAmazon.comでの評判もあまり良くはないし、生産は打ち切りになっているようだ。

だけど、コーヒーの味は僕好みでなかなか気に入ってる。コーヒーの風味までもデザインしたとは思えないのが、ドリップした後でフィルターにとてもきれいに粉が残っているのを見ると嬉しくなってしまう。すぐに壊れるんじゃないかとも心配してたが、すっかり我が家の一員として定着してくれた。コーヒーメーカーなんて頻繁に買い換えるものじゃないし、巷のレビューもどれだけアテにして良いか分からないので、長く使い続けていけたら、と思う。

http://www.jaspermorrison.com/html/4925928.html

1.30.2010

シネカノン&MIRAMAX

ほぼ同時に、アメリカではMIRAMAX FILMSの閉鎖が発表され、日本ではシネカノンが民事再生法の適用を申請したと報じられていた。ヒットした「フラガール」だけでなく、「歩いても 歩いても」「ゆれる」等、シカゴに居ながらも、わざわざ観て良かったと思える作品が多かった。 

歌舞伎町には映画館がなくなってしまったと聞くし、単館系も配給会社の倒産などで買い付けが進まい為、渋谷のシネマライズが自ら外国作品の公開を行うというニュースも読んだばかりだ。

一番自分が映画を観た80-90年代に単館系シアターも元気で、良い映画にも沢山出会ったので、残念だ。


STELLA CINEMA 特集 :
音楽と、映画と、シネカノン。
是枝裕和監督インタビュー

1.28.2010

おくりびとの続き(Elizabethtown)

Elizabethtown
Director: Cameron Crowe (2005)

映画「おくりびと」の納棺士という職業は日本の伝統ではなく、洞爺丸の沈没事故をきっかけに1969年から事業化された比較的新しいものらしい。
で「おくりびと」を見た後で思い出したのが、キャメロン・クロウ監督のこの映画。大企業から解雇された主人公が自殺をしようとしたところ父の訃報が届く。愛用していたブレザーを持参して父の故郷エリザベスタウンへ向かうのだが、土葬にするか火葬にするかとか、棺の父と対面したりと葬儀関係のエピソードが出てくる。
僕もアメリカで何度か知人や知人の家族のお通夜(wake)に出席した事があるが、欧米ではエンバーミングや本人の服・美容も施された容姿により、本当に棺で眠っているように見える。意外にその点では文化的な隔たりは少なかったのかな、と後になって思った。きっと普通のアメリカ人にとっては銭湯の方が珍しく感じるかもしれないな。

1.26.2010

ピカソ / ダンカン

メトロポリタン美術館で美術講座に参加していた女性がバランスを崩し、ピカソの作品「役者」The Actorに倒れかかり、作品の右下約15センチにわたって破ってしまったとか。報道によると、Rose Periodの作品で、軽く$100 millionはする作品らしい(この作品)。損傷部分は修復され4月下旬から予定されている展覧会でも公開されるとのこと。

妻 「もし自分がやっちまったらどうする?」

いやぁ想像出来ないな。破いちゃうってのも顔面蒼白だけど、その瞬間を誰かに撮られてYouTubeに載せられちゃったりしたら、もっと怖いだろうね。

そうそう、ピカソと言えば、最近、デビッド・ダグラス・ダンカンの写真集を3冊買ったばかりだった。特定の写真家の写真集をまとめ買いするなんて、本当に久し振りのことだ。

Picasso and Jacqueline (1988)
Picasso's Picassos (1968)
Photo Nomad  (Paperback)

シカゴ美術館にもピカソの超有名な作品があるけれど、クリーブランド美術館のピカソの部屋は青の時代の"La Vie"やRose Periodの代表作”The Harem”などがあって、とても印象的な展示でした。

1.24.2010

おくりびと

Departures
監督 滝田洋二郎 (2008)

先週末にゴールデングローブ賞も発表され、アカデミー賞も気になり始めたところで、思い出したように、昨年の外国語映画賞を受賞した「おくりびと」をようやく観た。



これまでアカデミー賞を受賞したりノミネートされた日本映画といえば時代劇だったので、正直言って授賞式をTVで観てた時は、まさか受賞するとは思わなかった。さらに「スラムドッグ$ミリオネア」が作品賞を取るとも思わなかったので(これも映画の出来栄えに関係なく傾向から)、ハリウッドも変わってきたのかなぁと興味深かったのが昨年のアカデミー賞。

公開から時間が経っているので、沢山のレビューや感想を目にしてきた。(物足りなさも含めて)いろいろな批評もあるようだが、普遍的な要素+わかりやすさが、柔らかくこの映画の中に流れ作用して、結果として海外でも認められた事は素直に快挙と思いたい。

「旨いんだなぁ・・・困ったことに」。山崎努が出てる事もあって、伊丹十三 監督の「お葬式」1984年と当然比べてしまう。その辺りの事も含めて脚本の小山薫堂氏のインタビューが興味深かった。

映画初脚本の小山薫堂氏が語る「おくりびと」
http://eiga.com/movie/53337/special/

FLOORED

FLOORED
Director: James Allen Smith (2009)
flooredthemovie.com





長い間シカゴにはCMEとCBOTという2つの先物取引所があり、お互いに世界一を争っていた。取引所のフロアには自己資産を投じて相場を張る"ローカル"と呼ばれるトレーダー達が居て、その存在が市場の流動性を支えていた。1990年代そのトレーダーの数は1万人を超えていたが、電子取引の普及により構造そのものが変化しつつあり、この映画が撮影された2008年にはその数は1割に減ってしまったという。その後、CMEとCBOTの取引所そのものも合併しており、トレーダーやフロア関係者の数はさらに激減している。

取引所フロアにはとてもキャラクターの濃い連中ばかりが集まっており、このドキュメンタリーはそういった人々をフィルムに収めている。彼らは普通の人なら異様に感じるような取引所内では成功し活き活きとしている反面、一般社会の風景の中ではどこかズレおり、その微妙な感じをよく汲んでいた。

もっともっと深く掘り下げて取材する事も出来ただろうし、現場や裏話の多くを知る身としてはやや物足りない気もするのだが、彼らの生態を記録した数少ないフィルムであるのは確かで、とても貴重な作品であろう。
シカゴGene Siskel Film Centerでの一週間の上映は各回ともSOLD OUTになっていたようだ。再上映も企画されているようだし、4月にはDVDが発売されるとのこと。77分と短いし、金融業界関係者ならば一度は見ておいても損はしないと思う。


映画とは関係ないが、CMEフロアの連中にインタビューした10分弱のビデオがYouTubeに載っていた。取引所合併に絡んでの移転直前の頃だと思うが、僕もここで10年以上過ごしていたので、顔見知りの面々が登場していて、懐かしい。

Merc Memories April 25, 2008

1.18.2010

14年

週末を挟んで慌しくしてるうちに、お陰様で今年もまた節目を通過しました。1996/01/15以来だから14年?ちょっと半端な感じですね。先の5000日目の方が感慨深かったかな。

ここ数年の間に昔の記述を一度整理したり、青木さんや和太鼓関係は別のWEBサイトに完全に独立させたので、ここkzy.comの中身はかなり寂しくなってしまいました。でも15年目に入りますし、時間さえ許せばやってみたい事がまだまだありますので、細々ながらこれからも続けていきたいと思います。よろしく。


今夜はKT宅でおでんをご馳走になりました。
ありがとう。

1.13.2010

漫画家

更新されてると嬉しい。
江口寿史
吾妻ひでお
とり・みき



卵 The Egg



原作・絵コンテ とり・みき 演出・動画制作 そうまあきら
”2008年作品。本編3分15秒。諸事情により三段オチの最初のオチまで公開。”

オジギビト集会所

1.11.2010

AVATAR

AVATAR
Director: James Cameron (2009)

今年劇場で観た最初の映画がこれ(1/5)。同僚達とIMAX 3Dに行ってきました。本当は年末に行こうとしたのだけどSOLD OUT状態だったので年明けに繰り越しになったのだ。
周囲でも本当に人気で、これほど人々に「劇場で観なきゃ(しかもIMAX 3Dで!)」と言わしめた映画って近年あっただろうか(マイケルのTHIS IS ITも人気だったけど)なんて思っている。驚異的なペースで興行収入記録を塗り替えているのも頷ける。

どちらかと言うと「映像体験」しているという感じで、映画史に残る”イベント”に立ち会っているんだなぁと思いながら観ていた(ストーリーが薄いのもあるけど)。実は昨年8月21日に"Avatar Day"という約15分間の3D上映があって、その世界観がどんなものか、その一端は知ってはいたのだけれど、あの「ワォ」の状態が3時間持続出来るとは、予想以上だった。

もうジョージルーカスは期待に応えるような作品を作ってはくれないけれど、キャメロン監督にはまだまだこの先も期待出来そうだ。

なおFOXのサイトから脚本がダウンロード出来る。




その昔、SONYがNYマンハッタンでシネコンを新装したのが1994年11月、この時にアメリカ初めて商業ベースのIMAX 3D上映館がオープンしている。ケーブルテレビやレンタルビデオの普及で映画館に足を運ぶ人が減ると予想しつつ「家庭では体験出来ないような、新たな映像体験を提供しなければいけない」「IMAX 3Dのソフト充実にも力を入れるのだ」と意気込んでいた(当時の記事)。

この話がずっと頭の片隅にあって、その後キャメロン監督のIMAX 3Dドキュメンタリーが数本続いたり、3D映画の可能性について彼が力説し続けていたので、なんとなく僕の頭の中では<SONY: IMAX :キャメロン>が連携プレーをしているのだと勝手に思っていたのだけど、この映画の配給はSony Picturesじゃなくって、Titanicと同じ20世紀フォックス。実際にAVATARの撮影に使われた3D撮影用のHDカメラは、日本に飛んだキャメロン達のじきじきのリクエストでSONYハンディカムの技術者が開発したものなので、あながち僕の印象は間違えではないと思うのだけれど・・・3D家電でAVATARと共同プロモーションを行うのはパナソニックなのだそうだ。

1.10.2010

Them Crooked Vultures



Dave Grohl - Foo Fighters, Nirvana
John Paul Jones - Led Zeppelin
Josh Homme - Queens of The Stone Age

久し振りの骨太なロックアルバム。昨年末に買って以来、聴きまくってます。こんなのが出るなんて「長生きはするもんだ」と年寄りみたいな事が言いたくなるアルバム。生き延びていれば、色々なことが出来るものですね。彼らが嬉しそうに演奏してるだけで涙が出そう。カートもボンゾも天国から面白がっているんじゃないだろうか。




wdr.deライブ

1.09.2010

Across the Universe

アクロス・ザ・ユニバース Across the Universe
Director: Julie Taymor (2007)

劇場公開時には見逃したのだが、「ビートルズの楽曲を33曲」というのが気になっていて、一度は観ておきたかった作品。レビューは賛否分かれていたが、サントラもそこそこ話題になっていたし、アカデミー賞では衣装賞でノミネートされていた。
ジュリー・テイモア監督はFrida(2002)等を撮っているが、ブロードウェイ ミュージカル 「ライオンキング」の演出家としての方が知名度は高い。



結論から言えば、嫌いじゃないけどダメ映画。期待度50%位で観たのだけど、やっぱり消化不良を起こしていて、ミュージカル作品としても、一本の映画としても決定的に何かが欠如していた。製作会社が勝手にカットした短縮版を公開しようとして監督ともめたらしいが、映画会社側の気持ちが分かるような気がする。もっとシンプルにまとめていたら、愛すべき小品になっていたかもしれない。カメラは綺麗だし意欲も感じられるんだけど、映像は凝っている割に斬新さは少ない。今さら山海塾もどきなんて、オマージュにもならないし。

"I Am the Walrus"や"Being for the Benefit of Mr. Kite!"のシーンはまるごと無くても良い程だが、よりもよってボノがカメオ出演してるし、監督の思い入れがプンプン匂ってきそうな場面。観客の欲求を満たすよりも、監督の自己満足が鼻につくかんじなので余計に困る。

この「空振り」感はその昔にジュリアン・テンプル監督のビギナーズ Absolute Beginners (1986) を観た時に似ている。まぁそのダメっぷりが憎めなくもあるのだけれども。製作費$45MのうちSony/マイケルジャクソンに支払ったビートルズ楽曲使用料は$10Mだったとか。これに対して全世界での興行収入が$29Mと、ビジネスとしては失敗作。


一方で、近年のジュークボックス・ミュージカルの先駆となったABBAの楽曲をベースにしたMamma Mia!。数日前に映画版(2008)をケーブルでやっていて、つい再び観てしまった(大きな声では言えないが、映画は劇場で観てるし、ミュージカルも観てる)。

ブロードウェイ・ミュージカル版の演出家が映画版の監督もしているのだが、今どきこんなので良いのかと思うほどチープで雑な作りの娯楽映画なんだけど、あれはあれでターゲットにしている客層(ゲイも含む)の欲求を満たしているような感じがするし、メリル・ストリープも楽しそうなので、許してしまいたくなる。ちなみにDancing Queenのシーンでピアノを弾いているのはABBAのオリジナル・メンバーで、本来「カメオ出演」なんてあれ位の隠し味の方がトリビア的でいいのだ(もう一人はエンドクレジット出てるんだっけ?)。

そして、Mamma Mia!は製作費$52Mに対して興行収入がWorldwideでなんと$603M。プロデューサーのトムハンクス夫妻も大喜びだろう。わざわざ調べてみて驚いたのだが、この2作品にこれほどの差があるとは!!(数字はIMDb)。


話をAcross the Universeに戻すと、テイモア監督は現在、ブロードウェイ ミュージカル版「スパイダーマン Spider Man, Turn Off the Dark」の準備中。製作費は$50M!、ボノとエッジが全曲音楽を担当とか、Mary Jane役にはAcross the Universeでもヒロインを演じたEvan Rachel Wood(22)<あのMarilyn Manson(41) と婚約したばかり・・・とか。資金難でプロダクションは一時中断してプロデューサーが交代、1月だか2月のpreviewには絶対に間に合わないと報じられていたりと、大丈夫なのかなぁぁぁという要素が詰まってますが、成功して欲しいものです。

1.01.2010

初日の出



謹賀新年






旧年中は大変お世話になりました。お陰様で超多忙な毎日を送っております。新しい仕事、充実しています。クリスマスカード+年賀状、まったく送れませんでした。ごめんなさい。大晦日まで働いて、夜はKT宅にお邪魔してカウントダウンしてました。
元日はこれから青木さん宅へご挨拶&お雑煮を頂きに向かう予定です。毎年恒例のこの行事があると「新年を迎えた」という実感がわきます。
傍から見たら無謀とも思われつつ、この2年間は大きな節目となりました。こっ恥ずかしいですが、「人生って面白ぇ」と思いました。今はその変化を楽しんでいます。一段落したら、今年こそは日本に遊びに行きたいと思ってます。
2010年もよろしくお願い申し上げます! 元旦