11.01.2009

Cadillac Records

キャデラック・レコード Cadillac Records (2008)
Director: Darnell Martin

シカゴの名門ブルース・レーベル、チェス・レコード (Chess Records)を題材にした映画。



伝説のレーベルやブルースミュージシャン達の姿を描いてくれたのは嬉しい事なのだが、邦題にわざわざ"音楽でアメリカを変えた人々の物語"と付け加えたように、良くも悪くも歴史の教科書みたいな作品で、演出も平坦。実話モノなのだが、チェス兄弟の共同経営だったはずなのに、オーナーは一人という設定だったりと、根本的に何かが違ってる空気が終始漂っている。ブルース・ミュージックに精通していれば、もっと気になる誤りにも気づくことだろう。フィクションならフィクションで構わないし、その分盛り上げてくれれば良いのに、妙に白々しかったりもする。それに事実はもっと小説よりも奇なり、だったと思うのだが。

「RAY」(2004)や「Walk the Line」(2005)「Dreamgirls」 (2006)等の音楽伝記モノのヒットの延長で製作されたのだと想像するが、決して悪い作品じゃないし嫌いじゃないのに、どこかディティールの詰めの甘さが残念でならない。もっと傑作になれる要素はあったのにと思える。映画の最後で登場人物が何年にロックの殿堂入りしたかが字幕で出てくるのだが、そんなのに拘っている自体、何か自分とは観点が違うようだと実感した。あぁこのちょっとした違和感は正にクリーブランドのロックの殿堂に行った時に感じたのと同じなのだ。