2009/10/19
ちょっとばかり忙しい日々が続いている。(良い意味で)気持ちが慌ててるだけかもしれないが。
「ディア・ドクター」がシカゴ国際映画祭で上映され、月曜の夜のながらも満席だった。-来場された西川美和監督は上映後のQ&Aに丁寧に応えていました。
中でも印象的だったのが、キャスティングの件。
名俳優を続々とキャスティングされてる事について-TVやCMで有名な方でも”映画”に出たいという方はいる-俳優の方にアピールするにはまず良い脚本を書くこと。俳優さんへのラブレターだと思って書いている-ということを話していた。この映画のサイドストーリーである短編集「きのうの神さま」が直木賞候補に、前作「ゆれる」の小説版が三島由紀夫賞候補となった背景を知ったような気がした。「映画館の切符のもぎりでも良いから、映画に関わる仕事がしたかった」という西川監督の”映画への愛”のカタチなのかもしれない。
ちなみに西川監督を見出した是枝裕和監督もデビュー作「幻の光」がこのシカゴ国際映画祭でグランプリを受賞、その後の作品も劇場で一般公開されたり、「誰も知らない」が受賞したりと、シカゴでの人気が高い。今年も新作「空気人形」がMain Competitionに出品されていた。西川監督にもシカゴの常連になって欲しいものだ。
「ディア・ドクター」のラストシーンには意見が分かれるところかもしれないが、あれはプロデューサーとの話し合いから生まれたのだと言う。このシーンに代表されるような迷いというか、何かを模索している監督の姿が画面の後ろから伝わってくるような作品だった。そもそもこの作品は、自分はホンモノの映画監督なのだろうか、という居心地の悪さから作ったニセモノの医者の話だという(余貴美子と井川遙が良かった)。御本人が迷う必要もなく西川監督はエッジの効いたホンモノの映画監督であるので、迷いが微塵もない次回作を早く観てみたいと思う。楽しみにしています。
上映前に西川監督を発見、サインをお願いしました。監督「よく私だと分かりましたね」とちょっと驚いた様子でしたが、前作「ゆれる」があまりに衝撃的で(僕の中でここ数年の邦画NO1)、インターネットで監督のインタビューを読み漁ったりしていたのですぐに分かりました。評判通りの美しい方でした。