9.15.2009

Still Walking

土曜日に、是枝裕和監督の「歩いても 歩いても」 をMisic Boxに観に行った。評判通りの傑作だった。
是枝作品は人の優しさ、切なさ、心の闇が同居しているので、油断してると不意打ちをくらって、クラクラしてしまう。

僕が是枝監督を知ったのはシカゴで上映されていた「ワンダフルライフ」(1999)から。地元紙は高いレビュー載せていたし、レンタルビデオ店にはシカゴ国際映画祭でグランプリ受賞したデビュー作「幻の光」(1995)が既に並んでいた。カンヌ受賞で「誰も知らない」(2004)が日本で話題になるよりもずっと前の事だ。

海外での評価が高い是枝監督作品だが「シカゴ受け」の良い監督さんだと思う。個人的な印象では、SABU監督や黒沢清監督もシカゴでの人気が高い監督さんだ。

「歩いても歩いても」は、どこにでもありそうな家族の風景が凝縮されてるんだけど、結構グサグサ刺さるように怖い。さらにネジが飛んで一線を越えてしまうと「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」や「逆噴射家族」みたいになるのかもしれないけれど、そんな事はせずに普通のまま、小津映画のままで過ぎていくのが、切なくて辛辣なところ。ラストは監督の優しさの表れだろうか、あれがあるお陰で全体が優しいベールで包まれた気がする。

今年のシカゴ国際映画祭では、是枝監督の最新作「空気人形」が上映される予定なので、とても楽しみだ。