11.25.2011

カーネーション

近年のシカゴ国際映画祭は、スクリーン数が多くてダウンタウンで一番新しいシネコン、River East 21 が会場として定着しているが、ここがオープンする以前は Century Centre などを中心に開催して、Music Box で一部の作品の上映が組まれたりしていた。

そんな2003年の第39回シカゴ国際映画祭、Music Box のスクリーン 2でこじんまりと上映されたのが、まだ日本でも公開前で、その後の大ヒット&高評価を知る由もなかった "Josee, the Tiger and the Fish" 、犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」(妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里)だった。

上映後に、この作品で脚本家デビューを果たした渡辺あやさんが質疑応答に応えてくれた。監督さんがゲストで来ることはあっても、脚本家の来場は本当にマレ。

とても和やかな雰囲気の中で、渡辺さんはデビューの経緯から田辺聖子の短編が原作のこの作品のこと、そしてオリジナル脚本となる次回作(「メゾン・ド・ヒミコ」2005年公開)、書いた脚本と監督の演出の違いなど、脚本家の視点から沢山語ってくれた。華奢な外見と静かな語り口ではなるが、その芯の太さと深い洞察力にすっかり引き込まれてしまった。

デビューのきっかけは、岩井俊二監督のWebサイト「円都通信」内のシナリオ応募コーナー「しな丼」への応募(当時も今も島根県在住とか)。僕も当時あのサイトを見ていたが、こんな風にインターネットから才能のある人が発掘されるとは思わなかった。

当時は無名の新人脚本家も、その後のヒット作の連発ですっかり評判の人に。今はちょうど連続テレビ小説「カーネーション」を担当されているが、(勿論、ひいき目に見て)やっぱり面白い脚本だなと思いながら TV JAPAN での放送を楽しみにしている。


志事人 #3 脚本家 ポプラビーチ
http://www.poplarbeech.com/shigoto/002145.html

music BATON|#063 渡辺あや
http://www.commmons.com/commmonsmag/baton/archives/063.html